2012年4月3日

おつかれさまの国

アレヨアレヨという間に帰国しました。

最後の、というか今年に入ってからのTO DOリストの消化具合が我ながら素晴らしい。

毎日が停電という環境は僕の作業スピードを著しく早めさせたのでした。
"電気が戻った!"と同時に作業開始。おちおちご飯をかきこむこともできません。

そんなバタバタした生活をしてたら、帰国すらあっという間に過ぎ去っていた。
In Kororo village⑤


"帰国時の心境"なんてのも書ければ良かったんだけど。
けど任地から引き上げた後に首都でも作業続けて、
帰国日3日前に資料を届けに任地に戻るなんて事をしてたあの日程では本当にムリ。

毎度の事だけど
「スミマセン」の5文字を弾にして僕に早撃ちさせたら、ビリー・ザ・キッドにも勝てる気がする。





そして帰国日の翌朝から次の進路のためにガタゴト電車乗ってるのでした。





まぁ、いいんだ。





一段落したらウガンダで2年間ボンヤリ考えてたまとめをちゃんと書ける気がするし。
今、「どう?」って聞かれてもやっぱりちゃんと答えられない。


こう、つき合い始めとか、同棲したて、結婚直後のふたりに、
「どう?」とかって聞くと、
「どうって‥‥まぁ、ねぇ」みたいな、
語尾は微笑みに包まれて全然しゃべってくれないけど、
「ああ、いい感じなのね」、って
明らかにわかるような、そういう感じってあるじゃないですか。

終わった恋をしっかり語るときはすみずみまできれいに語れるけど、
いま、まさに芽吹いている恋は、むにゃむにゃっと、ことば少なくなっちゃうのかも。


今はまだ終わった気があんまりしないし、
コロロ村を去る前にアイツらと最後に遊んだ写真を眺めてると、まだ胸の中でキュン死に警報発令中なのです。
In Kororo village④ In Kororo village② In Kororo village③ In Kororo village①

なので、"恋は終わったんだ"という気になったら、続きまた書きます(書き途中もある!)。

今はただ、おつかれさま。

2012年2月13日

潤いたいったらありゃしねぇ。

With ROBIN 今の乾季は、今までで最悪。
一ヶ月以上、雨が降らなくてカラカラでザラザラ。
洗濯も食器洗いも体を流すのも限界。
まさか井戸まで枯れたりしないだろか。

海行きたい。

2012年2月10日

異文化交流

シャッターの降りた深夜の薬局前でサトちゃんにくだを巻きたい夜の一つや二つ、誰にだって覚えがあります。

Club beer ウガンダ人とお酒を呑んでいる時の話です。


同僚とか生徒の家に遊びに行くと、よく酒を薦められる。
酒の場は大好きだけど、下戸だし、ローカル酒は強くて不味い。
けど、お誘いををプイと袖にするのは心意気に欠けるし、男がすたる。
ノブレス・オブリージュ(貴族の義務)とまでは言わないまでも、限りなくそれに近い心持ちはありましょう。
紳士たるもの、然るべきときに然るべき振る舞いが求められるのはごくごく当然のことです。
飲もうぜ!と言うのだから、襟を正してゴクリとやりたい。


そして、そこでの話題はきまって、スポーツ、政治、女という酒の肴の三羽烏。
日本で友人たちと飲み明かしている時の話題と大した違いはない。
スポーツが批評であり、政治がスキャンダルであり、女が体験談になるというところまで同じ。

特に恋愛話はみんな大好物。結局、最後はいつも異性の話になる。


「Taka、知ってるか?アルファベットの順番ってのは実は間違ってるんだよ!」
「何で?」
「だって、僕と彼女のイニシャルが遠いじゃんか!」
「・・・・」


「言っとくけど、僕らの愛はビクトリア湖(北海道とほぼ同じ面積)が干上がるその日まで続くぞ!」
「・・・・」


まぁ、愛すべきバカ達なのである。


ただこっちには全く浮いた話がないので、こちらから話題提供ができない。
そしていつもの「ウチの妹 or 娘 or 親戚をもらってけ」攻撃が始まる。

「いつになったら、Takaは嫁を作るんだ!」
「男のくせに料理して、洗濯して、あり得ないだろ!」
「よし、分かった。Takaは帰っていいから、妊娠させてから帰れ!」

合計特殊出生率5.9人(2011年)の国の男たちの口先はハンパない。上野千鶴子に全力で怒られかねない。
ひとしきりヤイヤイとなじられて、フーやれやれと汗をふいたら、また思い出したように「ホントにおまえは」と始まって取りつく島もない。牛の反芻みたいにして、結局4回くらい同じことを繰り返し言われる。 


あまりに悔しいので「昔は俺だって彼女いたさ!」なんて振られた彼女の話を始めたのが、失敗だった。
結局、出会いから別れまで延々と語らせられるハメに
そして、最後の一言。

「その娘、絶対Takaのこと待ってるぞ。俺には分かる。」

こっちも意識がトブくらいまで酔ってたので、
「そうか!そうだったのか!」という具合になり、勢いで数年ぶりに彼女にメール送信。
日本で友人たちと飲み明かしている時の行為と大した違いはない。


【異文化の他者の中に存在する「自分」を発見する】ってことが異文化交流という奴だと思うのだ。
酒の席のみならず、こっちでは幾多の場面でウガンダ人の中の「自分」と出会った。
もちろん慣習や価値観まで全てを分かり合えることはないし、彼らを自分と同一視するつもりはない。
ただ、全く違う文化の中で生きる彼らの中にも自分と同じ普遍性が存在する。
だからこそ分かり合える。それがウガンダで過ごした日々から学んだ事だ。


それにしても。

彼女からはいつ返信が来るのだろうか、サトちゃん。

2012年1月26日

そうだ、結婚しよう。⑥

後日。
結婚式当日のやり取りを取材するため、デイヴィッドの家に足を運んだ。そこにはもちろんノエリーンもいて、二人の娘のエスタ(1歳)と、レベッカ(0歳)もいた。子供たちの晴れ晴れとした笑い声に満たされた新婚の家は、なんだか幸福ってやつの正体を遠くからのぞいてるみたいな気持ちにさせられた。
そうだ、結婚しよう。⑱


そして、ひと通り結婚式でのアレやコレやを質問し終えた後、最後にずっと聞きたかった事を尋ねた。

「結婚についてどう思う?」

改めて口にするのは恥ずかしくて難しいかな、と先読みしていたら、彼は少し考えた後、ためらいもなく涼しい顔でゆっくりと言った。


そうだ、結婚しよう。① 「結婚は、『その人といつまでも一緒に』って感じる心の高揚なんだと思うんだ。それは単純で、俗っぽくて、些細なことで、ありきたりな事なんだけど」


 それは、全然背中に重い人生を背負っている感じのない、とても風通しが良くて、気分のゆったりとした結婚感だった。僕のように鼻息荒く結婚の意義を思い悩んでいる若輩ものにとって、色眼鏡がパリンと音を立てて割れるような一言。どれだけ自分の荷物を軽く思えたことか分からない。

 そう思えば、コントのようなウガンダ結婚式も理解できる。式に参加する前は「一生に一度の儀式」「人生史に刻まれる祝祭」なんて難しく考えていたけど、そこではそんな気負いはまるっきりお呼びじゃなかった。一時的に作られた非日常なんかじゃなくて、いつもずっと傍にあるようなウガンダの日常の陽気さ。意地だとか、試練だとかっていうのじゃない、単純で、俗っぽくて、些細なことで、ありきたり。一貫して式にあったのは、こっちまで笑顔になるような、赤ん坊や犬なんかとも共通しそうな無邪気さだった。




その時突然思った事があって、それをここに書こうと思う。
それは僕の意志や覚悟なんかとは全く関係ない、単なる実感だった。
とても気持ちが良くて、甘ったるくて、優しい実感だった。

ーー愛情をただただ育んでいくということ。

彼らの愛情の交換にゴールなんかはなくて、白黒つけるものなんかも何もなくて。
得られる愛情も、与える愛情もそんなものはなくて。
大きくなるものなんかじゃなくても、濃くなるようなものじゃなくても、少しずつ、少しずつ、大切にただひたすらに育み続けること。
そうやって代わり映えのない日常を楽しむこと。
そういうことだけが愛情の交換で、結婚ってやつなのかなと、そのときの僕は感じていた。

世界中を廻るギブ&テイクの中で、僕はこれからも結婚を損得で考えてしまうかもしれない。
どれだけ慎重であろうとしても、僕の怠惰や欲望は誰かを傷つけてしまうかもしれない。
そして何度も結婚にガッカリするだろう。

だから、いつまでも覚えておきたいと願った。
ウガンダで、彼らを通じて降りてきた優しい実感を。
いつまでも覚えておきたいと、僕は願っていた。

そうだ、結婚しよう。⑤

その後、新郎が父親にBride Price2万シルの聖書を3冊)を献上し、それに伴う様々な結納品を献上した。高級家具、牛の足、カンズー、ゴメス、石鹸、トマト、ピーマン、人参、ビール、ソーダ、調味料、etc.
そうだ、結婚しよう。⑰ そうだ、結婚しよう。⑭



そして、指輪の交換式。
そうだ、結婚しよう。⑯
新郎「僕は必ず、125日(Wedding Party)に君を迎えに来る。それまでどこへも行かずに、僕の事を待ち続けて下さい。希望を捨ててはいけません。僕はあなたを絶対に離さないから。」

首がチクチクするほど甘酸っぱい言葉に、襟足のあたりをぽりぽりかくばかり。





ムードよく夕暮れてきた中で、次は新郎新婦によるケーキ入刀。
そうだ、結婚しよう。⑮
 
 花火の暖色に照らされた小ぶりのケーキはさっくりと切られて会場中に振舞われ、その流れでみんなお待ちかねの夕食タイムへ。会場にはウガンダミュージックが豪快に鳴り始め、式の最中には絶対にいなかった人達まで会場になだれ込み、食べて踊っての宴会一色に。豪華な夕食と陽気な音楽を前にみんな一体となってポジティブな暴徒と化していたし、会場は熱気でほとんどオーブンみたいになっていた。帰り道ちょっと焦げてた人とかいたんじゃないだろうか。
 
 そして、明確な宣言もないまま式は閉幕した。

 帰りの車中。疲労と背中合わせの充実感の中で、新郎新婦の照れながら見つめ合う姿を思い返していた。
 そのまま目を閉じて膝をすりあわせたいような、甘い気分がした。

そうだ、結婚しよう。④

万事が万事この調子である。文化人類学者であれば「各文脈の裏に潜むブガンダ族の文化的・社会的背景についてうんぬん~」なんて知的好奇心がフル回転しそうなやり取り。ただ、日本のバラエティで育てられた若者からすると、みんなが「結婚式」という状況を利用した壮大なコントをしているようにしか見えない。大げさな身振り手振りで会場を沸かしている司会者の様子を見ると、近からずも遠からず。ウガンダ人の陽気さがそのまま濃縮、反映されているよう。
 また、会場での会話は全て現地語で進められるため、式の進行を完全に理解するには推理小説家の推理と天才詩人の空想力が必要。残念ながらその両方を持ち合わせていない僕は会話の中身を推しはかることを諦め、ただ式の流れに身を任せることにした。


式は新婦の家の子供たちの挨拶へと続く。幼い子供、若い女性、若い男性。
そうだ、結婚しよう。⑨ そうだ、結婚しよう。⑪ そうだ、結婚しよう。⑬



 そして流れでゲスト紹介とあいなり、司会者の口から僕の名前が告げられた。礼儀として立ち上がって周りに会釈をしたものの、司会者からの一言「前に来い」。人を押しのけ聴衆の前に立つと、マイクを手渡される。気づけばいつの間にかまわしを締められて土俵に上げられ、相撲を取らないと許されない状況になっている。仕方なく、僕の全力の現地語を駆使するも、
「私の名前はムビル(現地名)です。」
「教員として科学を教えています。」
「中国人ではなく、日本人です。」
 トホホとしか言いようのないセリフ。この外人の語学力の低さを察した司会者は、隣に寄ってきて現地語での祝福の言葉を耳打ち。僕は腹話術師の人形のように、その言葉をパクパクと語った。失笑と暖笑を頂戴したものの、顔から火が出て炎上し、そのままキャンプファイヤーが始まるくらいの勢いだった。(今後イントロダクションに出席する方は、必ず何か喋らされるので現地語の勉強にぬかりのなきよう)
そうだ、結婚しよう。⑩



両家からの挨拶が終わり、ついに新婦ノエリーンが家の奥から登場。 そうだ、結婚しよう。⑫ 連れ添って出てきた彼女の叔母が新郎を真ん中の座席から誘い出し、父親にこう紹介するのである。

「先日街を歩いていた時のことです。たまたま暴動に居合わせてしまい、警官隊による催涙ガスを浴びてしまいました。目から涙が止まらず、苦しんでいた私に優しくハンカチを手渡してくれたのが、彼なんです。彼はそんな、とても親切な人なんです。」
(物語の一部は完全にフィクションです)

客席を大声で手を叩いて笑わせる程、説得力のあるアグレッシブな新郎紹介。
かけた眼鏡だってずれ落ちないほうがおかしい。

そうだ、結婚しよう。③

イントロダクション当日。
 僕は新郎側の一員として出席。この際、出席者は伝統衣装を着用の上で出席する必要がある。男性は「カンズー」と呼ばれる長い裾をひく白衣、女性は「ゴメス」と呼ばれる彩り鮮やかな布で作られた衣装。
そうだ、結婚しよう。⑦


 午後1時。式は新郎の自宅から始まった。親類一同が会する中「スピーカー」と呼ばれる司会者の仕切りで、祝福の歌が歌われる。デイヴィッドの父が彼の肩に優しく手を置き、これからの彼の前途を祝福し、その後祖母の背に背負われるようにして、息子の門出が祝われた。
そうだ、結婚しよう。⑤ そうだ、結婚しよう。⑥

 外には新婦の家に向かうための数台の車が待機しているものの、そこでこぼれ落ちそうなくらい沢山の贈り物を積んだトラックが目を引いた。聞けば「男らしい所を見せるんだよ」との事。いわゆる『見栄』と言うもので、同性として心をうならされる。
そうだ、結婚しよう。⑧



 数台の車で行列をなして移動し、新婦の家に到着。新郎一団は新婦の家の前に綺麗に列をなして並ぶも、家の敷地内になかなか入ろうとはしない。しかも新婦側は何やら話し合いをしている様子で、外の様子を見ようともしない。更に彼らは話し合いを打ち切り、帰宅の準備まで始める始末(!)。

(そこからのやり取りはダイジェストで)

新郎側の司会者(以下、郎) ちょっと待ってください!
新婦側の司会者(以下、婦) 誰だ?何の用だ?
郎  話があるんです!
ーーー新婦側の女性数人がこちらに寄ってきて、胸に花のワッペンを全員に着けてまわる。
婦  彼らの様子はどうだった?
女性 彼らは全員病気にかかっていましたが、ワクチンを打ったのでもう大丈夫です。ただ、一人だけ重病の方がいますが・・・。
婦  その病気は何だ?
女性 愛の病です。
(会場爆笑)
婦  まぁ、いい。ワクチンを打ったのならさっさと入れ。
ーーー新郎一団は座席の前まで案内される。
婦  さて、お前たちに質問がある。ここには三匹の虫がいる。一匹目は立っている者を噛む。二匹目は座っている者を噛む。三匹目は寝ている者を噛む。お前達はこの中からどの虫を選ぶ?
郎  では、二匹目を下さい。
婦  よし。受け取った後、そこに座りたまえ。
(解説:実際にそんな虫は会場には存在しない。ここでは新郎側が『たとえ、虫に噛まれてもかまわないから、席に座らせてほしい』という度胸を示しつつ着席の許可を得る、交渉の一幕。)

 そして新郎のデイヴィッドは真ん中の目立たない席につき、主賓の席は空席のまま。聞けば「始めは新婦側の家族には、新郎が誰かはあえて教えないんだ。その方がサスペンスがあって面白いだろ」とのこと。