そんなこんなでムバララ県から6時間かけて、首都カンパラに戻って来たのだった。
日が昇る頃に首都を出たのに、もう日も落ちそうになってた。
世話になったコンダクターに戻ってくる旨を伝えて、携帯で連絡した友人の所へ。
、、、、嘘。
ちょっとトイレの寄り道へ。
というのも、朝からずっとバスに乗ってて、しかも二日酔いになる程の前日のアルコール。
限界だったのである。
乗車時は玉子豆腐のようにぷるぷる震えていたことなどもおくびにも出さず涼しい顔で通したが、下車と同時にタクシーパークの中の公共トイレへ走った。
〜〜〜〜〜〜〜
なんとかこうにかセーフ。
急死に一生を得た気分でトイレを後にしようとしたら、トイレ番にお金を請求された。
ウガンダの公共トイレはしっかり有料だった。
一回の使用料は100シル(3円くらい)。
けど、こちとら一文無し。
申し訳なさそうに「お金、、ないんだ。。」と伝えると、番人は一言。
「嘘つくな」
そりゃそう言うわ。
ただそうは言われてもそれが本当に事実なので、財布が盗まれたことを告白。
それに番人は驚きと落胆の顔で言った。
「それは不運だったな。払わなくてもいいよ。同胞が悪いことした。」
後でお金を手にしたら返しに来るよ、と伝えたら
「別にいいんだ。そんな小さい額だ、気にすんなよ」と、彼はころころ笑った。
そして、タクシーパークにわざわざ同期のクマ君に来てもらってお金を借りた。
(今後彼がお金に困ったことがあれば、世界の裏側まで飛んでいくつもりだ)
帰りのバス代と焼きバナナ2本とバナナ一房分のお金を返しに戻ると、コンダクターは帰りのバス代しか受け取ってくれなかった。
「アレは俺がお前にあげたんだ。お金なんていらないよ」と、彼もけらけら笑った。
実際のところ、僕はそこから溢れ出すセンチメンタルの奔流に押し流されることを恐れた。
財布が盗られた後は「今後は軽薄なセンチメンタリズムやロマンティックな想像を排し、リアルな日常を果敢に生きぬかん」と誓った。
けど、僕も人の子である。時には急所をつかれることだってある。
それにあんなに周囲から優しく笑われて、魂のやわらかい場所をぷすりと突き貫かれてしまった。
それから。
そのコンダクターとは帰国するまでずっと「兄弟」と呼びつづける親密な仲になった。
お金は無くしたけど、その分お金じゃ買えない大事な友だちができた。
もちろん愉快な経験とは言えないけど、良薬とはつねに苦いものなのだ。
〜〜〜〜〜〜
後日談。
財布が見つかったという連絡を受けて事務所へ。
話を聞けば、ある人が道に落ちてる財布を拾って、首都まで届けに来てくれたらしい。
もちろん、その人は自分の移動費と謝礼を要求。
事務所の人いわく「恐らく犯人だと思うけど、証拠もないから何とも言えなかった」との事。
・・・毒薬もまた苦いのだ。
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