2012年11月26日

プライベートな話をしよう③

仕事を終えての帰り道は、帰宅途中の小学生達とタイミングがかぶる。

そういう時は手当たり次第にからむ。
現地語を学ぶには格好の相手だし、愛すべきお子さま達とのお喋りは楽しい。

そんな日。
Alanと友だちになった。
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初対面の自己紹介でのやりとり。
A「名前は何て言うの?」
T「Taka Mubiluって言うんだよ」
A「えっ!?ってことは、Manba Kuran(氏)?」
T「そうそう」
A「僕もKuranはManbaなんだ!したら、うちら家族じゃん!」
T「まーそういうことになるね」
A「じゃあ、Takaおじさんじゃん!」
T「そうそう。今度からUncle Takaって呼んで」

っていう軽いノリで親戚ができた。



それから、たまに帰り道が一緒になると仲良くしてた。
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そんなある日、Alanに家に招かれた。
軽快なステップでひょいひょいついて行ったものの、驚いたのはAlanママ。
「おかーさん!おじさん連れてきたよ!」と言うものの、息子が連れてきたのは異人。

お父さんが白犬の一家ならまだしも。
お母さん、全力で焦ってた。
しかもお母さんは英語が喋れないので、間にAlanを挟んでの文字化けのような会話。

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そんなずいぶんぼんやりした会話を続けた後、
「まぁ夕飯でも食べてってよ」
と、Alanに催促されてAlanママは夕飯が盛られた器をさし出してくれた。

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献立はポショ+川魚。

悪く言えば、
学校の給食で毎日我慢して食べ続けているポショ(無味)と、
近くに川もなければもちろん冷蔵庫もない奥地の村の魚(あたりそう)。


周りを見渡すと、近所のお子さん共が玄関に押し寄せて
「アイツ食うんか?」
「いやー、食わんやろー」的にぎわい。
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Alanママも訝しげにじっとこちらを見つめているのだ。

ただ、村の一般家庭からしたら魚は間違いなく高価。
しかも夕飯の時間に突撃で訪問したヨネスケみたいな異人にご馳走を出してくれている。

ここで食べなかったら小猫のミルク皿程度の器の男だと思われる。
人気のソフトクリームよりなめられる。貼りなおしの切手よりなめられる。

「ごちそうするよ」って言ってくれているのだから、
そんな時は「じゃあ、ゴチになります、いただきます!」って遠慮しないで器ごと口に近づけて、
あごにお弁当くっついてんのにも気づかないくらいの勢いで食べなくてはならない。

おいしいです、ありがとうございますって全身で伝えるのがおごられるほうの態度だし、
そうすればおごるほうにも、あー、いい食べっぷりだなぁって気持ちよくなってもらえるってもん。

なので、魚の骨以外綺麗にガツガツ平らげた。

全力の現地語で
「マジ美味いっす。料理お上手なんですね。」
って伝えたら

「メイズを長くこねてるんだけど、それでかな」
とAlanママは威張るでもなく控えめに照れ笑いを浮かべた。

それから僕らは家族になった。
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家では炒飯を作ってよく食べてるって言えば、
「うちの玉子もってけ」攻撃。(完食)DSC_0715

ジャックフルーツが好きだと言えば、
「うちのジャックフルーツもってけ」攻撃。(食べきれず腐る)
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まるで三流ホームドラマを実体験しているかのようだった。

僕が視聴者なら、チャンネルを変えた瞬間だったかもしれない。

でも、そりゃあ、やっぱり嬉しかった。

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生活はあきらかに変わってます。
もう、あんなふうな「くだらない時間」はないです。
「役に立つ時間」や、「ためになる時間」が優先されて、
「くだらない時間」は生活のなかから
ホコリのようにサッと掃き出されてしまいました。

しかも、ほんとは個人で味わうべき「くだらない時間」を、
テレビのなかの「お仲間」に、代わりにやってもらって
それで気晴らしをするようになってたり。

「くだらない時間」を自らの手に取り戻そう!
なんて血相変えて言うようなことじゃないけど、
生活の5%くらいは、あってもいいような気がする。
(あり余るほどの「くだらない時間」は遠慮しますが)

Alan家は日曜の平和な海産物家族とは一味も二味も違うのでした。
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