2012年9月27日

プライベートな話をしよう②

1 (前回の続き:筆舌に尽くしがたい休日について)

休日の朝はパンと珈琲とラジオ体操をたしなんだ後、ボーッとしばし放心するところから始まります。
もちろん僕は普段から精神を研ぎ澄ましているような人間ではありませんが、その「ボーッ」は、「ボーッ」の中の「ボーッ」。
「全国ボーッとする選手権」というものがあればコロロ代表の座も間違いなしと思われるほどのボーッです。

そうこうしているうちに、現実がテケテケと小走りで去っていきます。



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ふと目が覚めて玄関に出れば、隣家の庭では豚が木漏れ日を浴びながらくさくさと生い茂った雑草を布団にしてまどろんでいるのです。
朝日に温む色あざやかな緑ほどあくびのでる景色はありません。
さんざん寝過ごしたことなどすっかり忘れて、そろそろ寝るかという気になります。



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どれくらい寝すぎると病気と認定されるのか?
そのボーダーラインを知っておきたいと思うほど寝た後にふらふら外へ。

やんわりした太陽の下、ぼんのくぼにできる日だまりが蜂蜜のよう。
そんな休日の晴天を前にすると、脳天から尻までヘリウムを詰め込んだように浮かれます。
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(∩´∀`)∩〜♬


自然とほころんでくる顔をどうしようもできず、我ながら怪しいウスラ笑いを浮かべて歩いていると黒い溝。
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「あら、こんなところに溝なんてあったかしら?」

_DSC0196 なんて素知らぬ顔で呟きたくなる程の大量の蟻。

見るに耐えない光景に視界が腐ります。
しかもうっかり踏んだり蹴ったりしようものなら、彼らは一気に足を駆け上がって噛みついてきやがります。

這々の体で逃げ出すよりありません。
八つ当たりに道路を踏んだり蹴ったりしながら、そそくさと歩いて脱出。




行きつく先は最寄りの商店街、みんな大好きチネネマーケット。
DSC_0359 DSC_0406 DSC_0360 昼間の暑い時間に行くとほとんど無人。
誰もかれもが「全国ボーッとする選手権」を家内で盛大に開催し、しかるのち昼寝に勤しんでいるのです。


それはさておき、昼は腹ごしらえに"チネネの吉野家"ことチネネ スマート レストランに。
_DSC0853 常連過ぎて、注文せずとも「バナナとご飯の混ぜ物&牛肉スープ」をよそってくれる。
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これで定価50円。お財布への信頼に一抹の翳りある私のような人間には頭があがりません。
しかも日によっては、スープの中に上述のサファリアンツが浮かんでいるおまけ付き。

女将はタンパク質とワンパク質を混同してる疑いがあるものの、そのへんはうやむやな感じで胃に流すのです。



そして、村人と歌ったりクワふったりサッカーしたりして過ごすのである。
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_DSC0877
_DSC0059夕刻の村は、あちこちの談笑が耳をくすぐるくらいには賑わってくるけど、そのざわめきに会話が消されることもない、とにかくほどよい距離感で居心地が良いのです。
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しまいにはねむたくなってきます。
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享楽的生活に溺れることが経済活性の要としてむしろ奨励される世の中にあっては、かのライフスタイルはむしろ非難されてしかるべき類。
自分の存在によって発生する経済効果は、冬眠ぐまの経済効果とほぼ等しいレヴェルだった。
けどまぁ、豊かさは買うものじゃなくて作るものだってことは遊んでるうちに勝手に学んだのでした。

「とりたてて何もなかったけれど、今日はとてもいい一日だった」
そう呟いて日暮れとともに夕飯の野菜と一緒に帰路につき、休日は暮れていくのでした。

2012年9月24日

mo money mo problems⑥

そんなこんなでムバララ県から6時間かけて、首都カンパラに戻って来たのだった。
日が昇る頃に首都を出たのに、もう日も落ちそうになってた。


世話になったコンダクターに戻ってくる旨を伝えて、携帯で連絡した友人の所へ。



、、、、嘘。
ちょっとトイレの寄り道へ。

というのも、朝からずっとバスに乗ってて、しかも二日酔いになる程の前日のアルコール。
限界だったのである。
乗車時は玉子豆腐のようにぷるぷる震えていたことなどもおくびにも出さず涼しい顔で通したが、下車と同時にタクシーパークの中の公共トイレへ走った。



〜〜〜〜〜〜〜



なんとかこうにかセーフ。
急死に一生を得た気分でトイレを後にしようとしたら、トイレ番にお金を請求された。

ウガンダの公共トイレはしっかり有料だった。

一回の使用料は100シル(3円くらい)。
けど、こちとら一文無し。
申し訳なさそうに「お金、、ないんだ。。」と伝えると、番人は一言。

「嘘つくな」

そりゃそう言うわ。

ただそうは言われてもそれが本当に事実なので、財布が盗まれたことを告白。

それに番人は驚きと落胆の顔で言った。
「それは不運だったな。払わなくてもいいよ。同胞が悪いことした。」
後でお金を手にしたら返しに来るよ、と伝えたら

「別にいいんだ。そんな小さい額だ、気にすんなよ」と、彼はころころ笑った。


そして、タクシーパークにわざわざ同期のクマ君に来てもらってお金を借りた。
(今後彼がお金に困ったことがあれば、世界の裏側まで飛んでいくつもりだ)
帰りのバス代と焼きバナナ2本とバナナ一房分のお金を返しに戻ると、コンダクターは帰りのバス代しか受け取ってくれなかった。

「アレは俺がお前にあげたんだ。お金なんていらないよ」と、彼もけらけら笑った。




実際のところ、僕はそこから溢れ出すセンチメンタルの奔流に押し流されることを恐れた。
財布が盗られた後は「今後は軽薄なセンチメンタリズムやロマンティックな想像を排し、リアルな日常を果敢に生きぬかん」と誓った。
けど、僕も人の子である。時には急所をつかれることだってある。
それにあんなに周囲から優しく笑われて、魂のやわらかい場所をぷすりと突き貫かれてしまった。


それから。
そのコンダクターとは帰国するまでずっと「兄弟」と呼びつづける親密な仲になった。

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お金は無くしたけど、その分お金じゃ買えない大事な友だちができた。
もちろん愉快な経験とは言えないけど、良薬とはつねに苦いものなのだ。



〜〜〜〜〜〜
後日談。

財布が見つかったという連絡を受けて事務所へ。
話を聞けば、ある人が道に落ちてる財布を拾って、首都まで届けに来てくれたらしい。
もちろん、その人は自分の移動費と謝礼を要求。
事務所の人いわく「恐らく犯人だと思うけど、証拠もないから何とも言えなかった」との事。

・・・毒薬もまた苦いのだ。

2012年9月23日

mo money mo problems⑤

実際のところ、嬉しかった。お腹、減ってたし。

けど感謝こそすれ、そんなことで心を許してしまってはならない。
言ってもここは途上国アフリカ。死ぬか生きるかのサバイバルの土地。
そんな心の隙があったからこそ、先刻に財布を盗まれたばかりではないか。
バナナ2本で心を鷲掴みにされるようなことがあれば、自分で自分を即刻殴り飛ばしてやらねばならぬと、右の拳をやや固めに握った。


そして、恥ずかしがりなら感謝を彼に告げ、もしゃもしゃバナナを喰らったのである。





〜3時間後〜





いい加減、辛くなってきた。
朝から9時間くらい椅子に座り続け、ipodの充電もとうに切れて、眠るのも飽きた。

それもこれも、お腹が減ったのだ。


朝6時頃からバスに乗って、眠りに眠って、おやつ時。
朝食はパン一個に水。昼はバナナ2本。

けど、食べ物を買うお金もないし。。。


そんなこんなで、バスは休憩がてらにまた街で停車。
ただ、こちとらそんな状況。騒がしく焼きとうもろこしやマンゴーを沢山抱えた売り子を窓からうらめしそうに眺めながら、主人を待ち続けるハチ公みたいに椅子の端っこでうずくまっていた。


そんな時。
「これも、食べろよ」と言ってコンダクターが、バナナを一房手渡してくれた。
「いやいやいや、悪いよ。さっきだってもらったのに。」申し訳なく断ったら、
「気にすんなよ。お腹減ってんだろ?」と言った。



もう体裁とか気にせず半泣きになりながら、もしゃもしゃとバナナを喰らったのである。

mo money mo problems④

滞在時間5分のムバララを後にして、首都カンパラの帰路についたのであった。

サイフがない事に気づいた後はパニックだった。
とりあえず、デカイ声を出して周囲に猛アピール。
変な外人が騒いでるとあって、コンダクターも運転手も乗客も野次馬も手伝って乗ってたバスを大捜索。

冗談抜きで、椅子もひっくり返した。

それでもサイフは見つからなかった。

乗車時。
遠のいてく意識の端で、後ろに若者集団が乗ってた記憶があるけど、おそらくそいつらなのである。


「首都に着いたら友人からお金を借りて、乗車代は絶対払う!」
という約束をして、乗ってきた長距離バスに再び乗るハメに。





想像して頂きたい。
友人のイベントに参加するために名古屋に行く予定が、大阪に着いた上に、財布をスられることを。
それだけでも魂の局所麻酔が必要なほど痛ましい光景であるのに、そこでじんとほろ苦い涙など流そうものなら、たっぷり四半世紀は自分を許せぬ羽目になる。

それに最初はパニックになっていたから考える隙もなかったけど、乗車して冷静さを取り戻すにつれ、遅ればせながら怒りがこみあげてきた。
現代文明におんぶに抱っことは言いながら、両親と地球環境以外には誰一人として恥じ入るべき相手のいない、貝のように無害な生活を送っている自分から、財布をスるクズがいるとは!
ウガンダに赴任して半年、「そろそろ帰国の準備が必要な頃合いか」なんて考えもちらつく始末。

それもこれも、お腹が減ったのだ。

朝6時頃からバスに乗って、眠りに眠って、お昼過ぎ。
朝食はパン一個に水。

けど、食べ物を買うお金もないし。。。


そんなこんなで、バスは休憩がてらに街で停車。
ただ、こちとらそんな状況。騒がしく肉の串焼きやバナナを沢山抱えた売り子を窓からうらめしそうに眺めながら、雨に濡れた野犬みたいに椅子の端っこでうずくまっていた。


そんな時。
「これ、食べろよ」と言ってコンダクターが、焼きバナナを手渡してくれた。
「受け取れないよ。お金がないんだ。」申し訳なく断ったら、
「いや、お金はいいんだ。お前は俺のバスで金をとられた。それは俺の責任だ。」と言った。

mo money mo problems③

(前回までの続き:長距離バスに乗りながら、絞りきった雑巾みたいにくったり寝てた)

三度寝もそろそろ飽きかけた頃、時計を見たら正午頃。

明らかにおかしい。

目的地のマサカ件は首都カンパラから西に100km近く、移動時間4時間の場所なのに5時間近くかかってる。
でもその時はマサカ県に行くのは初めてだったし、ウガンダにも慣れてない頃。

「まぁそんなもんか」くらいの冷静を取り戻し、また寝た。





(´~`) zzz





んで、コンダクターに「着いたぞ」と言われて降りたのがムバララ県。




これ、日本で言うところの『名古屋』に行くつもりが、寝過ごして『大阪』に着いたようなもの。






聞いてねぇぞ!ゴラァ!!>ヽ(`Д´)ノ と喧嘩を吹っかけたものの、
( ´_ゝ`)<だって、寝てたじゃん。  の一言。
oh my gosh!

自ら進んでギャフンと言いたい所を下っ腹でグッとこらえて、
「こんな遠くまで来ることもないし観光してくかー」なんて、脳天気な観光客を装って冷静さを保つことに。

とりあえず、お昼でも食べようとジーパンの後ろ右ポケットのサイフに手をおいた。


手をおいた。

手をおいた。

手をおいた。


が。
三度確認してもサイフの感触がない。


まさか!


と思ったら、ゴムチェーンが切られてた。

Where is my purse!

マサカ県なだけに。ギャフン。

2012年9月18日

Tell me about you

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Edwin(前の職場の同僚)からメールが届いた。

"How is Japan? Tell me about you!"

時候の挨拶だとか結語だとかいろいろ難しいことをおもえば手紙がちょっと雑にすぎる気もする。


いや、すぎ。


けど、友だちとの会話にあっては「雑」もまた美徳のひとつ。
こまかい御託はお呼びでないのだ。
マクドナルドにナイフとフォークを持ちこんでも意味がないのと同じです。


何せ、こっちは歩みののろさでいったら三輪車にもひけをとらない雑なBlog。

いいのいいの。

固定観念は自転車における補助輪くらいの役割しか果たしてくれません。
補助輪が取れると体が軽くなるよ!




そんなこんなで、そろそろ続き書こうかな。

でもふと気がついてみれば我ながら順調に大人の階段をのぼっているらしく、
「忘れっぽくなってきたからメモをする」という初期段階(phase 1)から、
「メモをどこに置いたか忘れる」(phase 2)を経て、
「メモしたことを忘れる」驚異の第3段階(phase 3)まで知らぬ間に辿り着いているのです。

なので前に書き留めたBlogのメモがどこにあるか分からんし、そもそもメモしてたかどうかもあやふや。
書いてた気がするけど。。。

以前はピンと引き締まっていたニューロンも、今やしなびたえのき茸みたいになってるんじゃないかとおもう。

次に待つのはおそらく「忘れたことを忘れる」(phase4)というたいへんポジティブな忘我の境地であり、
行き着くその先は「忘れるという概念が消失する」(phase5)輝かしい無我の境地です。
それを涅槃と呼ぶのだとすれば、なんとなく老化上等という気がしてこないでもない。




話がそれた。
Edwinのフリに応えて、やっと前の続きを書こうかなって話。