2010年9月30日

平べったいPTCでの一日⑨

放課後 17時〜18時

ある日。
理科室に質問に来た生徒が、"化学の〜〜の内容がよく分からない"と言ってきた。
そのため、補習をしてあげる事にした。

その補習が終わるや否や、"物理の〜〜の内容もよく分からない"と言ってきた。
そのため、翌週にまた補習をしてあげる事にした

その補習が終わるや否や、"天体の〜〜の内容もよく分からない"と言ってきた。
そのため、翌週にまたまた補習をしてあげる事にした

その補習が終わるや否や・・・・・(以下同文)


という事で、一週間に一度、補習&理科実験講座を開く事にした。




各クラスの生徒数は80人近くいるため、
授業中はどうしても個人の面倒はおざなりになりがち。

それに、60分授業だと教科内容を教えるのに時間一杯で、
テストに出ないようなどーでもいー実験(だからこそやりたい実験)はやれずじまい。

「そんなら、希望者を募って放課後理科室でやればいいジャマイカ」
という事な訳だ。




それに、授業に限らない話だけど、
"何を言うか"より、"どう言うか"より、
"誰が言うか"って事の方が重要だと思う訳だ。

どんな良い事を言っても、どんな上手い方法で伝えても、
"中身はないくせにプライドと意地だけはある政権与党みたいな先生"
って認識されちゃったら、届くモノも届かなくなっちゃうと思う訳だ。

"何でも知ってる頼れる先生、安心と信頼と高品質のメイド イン ジャパン!!"
と思われたい訳だ。

まぁ、そんな表の面を維持するために、
毎日の授業準備に拍車がかかったのは言うまでもない訳だ。

extra lesson②
extra lesson①

extra lesson⑥extra lesson③
extra lesson⑤
extra lesson④

2010年9月23日

平べったいPTCでの一日⑧

ビクの気分次第 大体14時〜17時(授業外)

近頃の理科室は、生徒や同僚の来訪に加えて、彼女も頻繁に来訪する。
Victoria①
同僚ジャクリーンの娘、ビクトリア。
正確には、"襲来"と言ったほうが正しいかもしれない。


何故か分からないけど、最近ジャキは学校内でビクを放し飼いにしてて、
勤務中に彼女の姿を学校のアッチコッチで頻繁に見かける。

ただ、さすがに授業中の教室に入室する事はしない彼女。
そうなると、彼女の寄る所は大体決まってるわけで。。。
開けっ放しにしてある理科室のドア(いつでも誰でも入室出来るように、それと在室しているという合図の意味を込めて、在室中は開けている)を発見すると、理科室に飛び込んで来る。


時間に余裕がある時はいいけど、授業前の準備に忙しい時は本当に勘弁してほしい。
そんなこっちの気持ちはお構いなしに騒ぐ彼女。
Victoria⑩

・実験で使うゴム風船を膨らませてあげて外に追いやっても、すぐ破裂させて戻って来る。
Victoria③Victoria⑤

Victoria②




・人の携帯を奪って(しかも自分のだと言い張る)電話をかける。(僕の方はエアー携帯で対応しなくちゃいけない。)








・ワケ分からん授業(おそらく算数、だけど全部ルガンダ語)を受けさせられる。
(シカトしてると、ものさしで叩かれる。)
Victoria⑥

Victoria⑨Victoria④Victoria⑩
Victoria⑪





















・セクシーポーズ(本人的に)を撮らされる。
Victoria⑦


ただ、先日。
彼女はとうとう理科室の備品にまで手を出し始めた。
「ネッダ、ネッダ!(ダメ、ダメ!)」
「トゥゲンダ クザンニャ エッダ!(後で遊んであげるから!)」
と言っても、おさまる気配は全くなし。

私物ならまだしも(我が家の数多き備品は彼女によって破壊済)
そこは冗談抜きでキツク注意した。


その後、その注意が効いたのか、急に雑巾やホーキを使って理科室の掃除を始めたビク。
ツンデレがタイプの僕としては、急にそういう態度取られると弱いのだ。
そういう時は、報酬として風船をやるのだ。
Victoria⑧

平べったいPTCでの一日⑦

生徒が暇な時 7時〜17時(授業外)

うちは教員養成学校という事もあり、"教えたがり屋"が結構多い。
その上、以前「色々と教えてくれ」みたいな事を公言してしまったために、
教えたがり屋がインフレ中。



ある日、アレックスが英語を教えてあげると言って理科実験室に。

"preposition(前置詞)って知ってる?"って聞かれたので、
"(単語として)意味が分からん"って言ったら、in、at、on なんかの文法上の用法から始まった。
しかも、小学生用の英語の教科書で。

"いや、さすがに前置詞の文法上の用法くらいは分かるよ!"
って言いたかったけど、せっかくなので教わる事に。

"前置詞ってのはね~~" ”ふーん、なるほどねー”
なんて言い合いながら、僕らは会話の中で既に前置詞を色々使って話しているのにも関わらず、アレックスの前置詞講座は熱心に続けられた。

ただその後、(一問一問は超簡単なのに、鬼のような量の)練習問題を解かされる羽目に。。。




ある日、ダイアナがルガンダ語を教えてあげると言って理科実験室に。

PTC⑬PTC⑫

"じゃあ、今日は簡単な所からやろう"
と言いつつ、ルガンダ語での"顔の部位"について聞かれた。
"eyeは?mouthは?hairは?noseは?"


・・・もちろんさっぱり一つも分からない。
常・偏微分方程式よりもはるかに難しい。
だけど、ダイアナ女史曰く、
"こんなのも知らないの?! こんなのそのへんの小学生でも知ってるよ!"



・・・・ヾ(ё) チーン。

平べったいPTCでの一日⑥

生徒が暇な時 7時〜17時(授業外)

以前から、生徒には
「聞きたい事あったらいつでも来ていいよ。
 聞きたい事がなくてもいつでも来ていいよ。」
と言ってあるので、理科実験室には生徒がよく遊びに来る。

PTC⑩PTC⑦





前に、生徒があまり寄りつかないような事書いたけど、あれは赴任して1,2週間頃の話。

仲良くなってみれば、
理科や数学について真面目に質問に来る子もいれば、
時間つぶしに来る子、挨拶だけ来る子、駄話に来る子、
ツーショットを取りに来る子、携帯の充電のために来る子、まぁ色々です。


PTC⑨
質問に関しては、数学だったら即答可能。
解答方法と解答するために必要な知識の復習をしてあげればいいので。
(ただ、"vector"と言われて"ベクトル"の事だとすぐ気づけなかった事はある)

理科は問題と言うより、定義を教えて欲しいって事が大体なので即答不可。
"cathode ray について教えてくれ" だったり、
”chromatography について教えてくれ" ってのは、手探り・辞書探り・グーグル探りで一緒に考えてあげて対応。



PTC⑪後は、日本についてのアレコレや僕についてのアレコレを
質問されたり、逆に質問したり。

面白いとこだと、
"最近の朝鮮半島事情はどうなってんの?"とか
"また日本の大統領(首相)変わったっしょ?"とか。

"奥さんいるの?(解答:いない)
 彼女いんの?(解答:いない)
 何で?(解答:・・・)"
っていう、法医学的な探偵味を含んだ質問には、こっちから積極的に相談してみたり。


中でも、
"第二次大戦で日本は負けたのに、何でそんなに経済発展してんの?"
っていう、教科書上ではいかにも聞かれそう、だけど現実にそんな質問されないだろって思ってた質問をされた時は困った。


「国民が勤勉で努力したから」なんて解答は良い大人相手に失礼だし、
かと言って一言で語れる程単純な話でもない。
四苦八苦"朝鮮特需"とか"バブル"の事とかを話してみたけど、なんとなく消化不良。

後に、隊員友達に聞いてみたら、やっぱり生徒に同じような質問をされたらしい。
その時は、
"それを昔の日本人は自分達自身で考えたから、発展したんだ。
 すぐ人に答えを聞こうとするから、ダメなんだ。"
的な事を言ったらしい。

一休さんの禅問答のような、結局答えになってないような答えだけど、
これを聞いた時はヤルナーと関心してしまった。

2010年9月15日

平べったいPTCでの一日⑤

Lunch 13時〜14時

Lunchも、職員室で頂く。
PTC③
Lunchメニューは、365日いつでも"ポショ豆"(隊員間での通称)。
ポショは、ウガンダの主食の一つでトウモロコシの粉で作った団子。
ケニアやタンザニアで言う所のウガリ、
モザンビークやマラウイで言う所のシマ。
それに豆スープをかけて、ザッツオール。

豆スープに少し塩味が効いてるけど、ポショ自体には特に味はない。
個人的にはマトケ(バナナ)のが好きなんだけど、タダ飯を食べさせてもらっている分、文句は言えない。


以前読んだ、沢木耕太郎の「旅の力」に
「異国への旅は、食べ物への耐久力が必要だと思う」という事が書いてあった(気がする)。

美味しい物ばかりを食べる生活に慣れてしまうと、異国の食べ物(大概は美味しくない)への拒否反応が出てしまう。その反応は、年齢を重ねるにつれて強くなって、異国への旅を困難にさせる、みたいな話。

実際、隊員の中にもウガ飯が駄目だっていう人はそれなりにいる。
昼食時には、帰宅して自炊ってケースもチラホラ。


その点、僕は珍来に行くと悩んだ挙げ句、結局チャーハンセットを頼んでしまう程、安上がりな男なので心配ない。それに、元気に男の子をやっているおかげで、腹が減れば何でも美味い。

ただ。
さすがに毎日、味のしないポショ豆を食べ続けたおかげで、
最近はポショに関しては美味いとも不味いとも思わない。
"ポショの境地"に達した気がする。

平べったいPTCでの一日④

Break 10時〜11時

Break Timeは、職員室でお茶菓子を。
出されるのは、Teaとスンブサ。
PTC
ウガTeaの美味しい頂き方。
1.まず、お湯をコップに注ぐ。
2.んで、紅茶をガバッとすくってドバッとコップに直入。
3.更に、砂糖もガバッとすくってドバッとコップに直入。
紅茶と砂糖はどちらも大量に入れるのが粋。

スンブサ。
小麦粉で作った衣を豆を包むように三角形に折って、
それをカラッと揚げて、ザッツオール。
シンプルだけど美味しい、Favoriteウガ菓子。

Teaはいつでもあるけど、スンブサはたまにただの食パン(もちろんバターなしで焼いてない)になってしまう時がある。その時は凹む。

2010年9月11日

(平べったくなかった頃の)PTCの一日

今でこそ活動も順調にこなしてる(ような気がする)けど、
そういった話を書く前に、活動が滞ってた時の話をちょっと。
ただ、こりこり書いてるうちにおじいちゃんの話みたく長くなってしまったので、
先にお茶を用意してください。書きすぎた。


ーーーーーーー

赴任当初の日々は、ただただツラかった。
要約すればそれだけのものでしかないけど、
その僅かな言葉の周囲には言葉にならない思いや出来事が多々あった。


水道・電気がない、ご飯が美味くない、教材がない、娯楽がない、
なんてのは慣れてしまえばどうってことない。
古今東西の悩みといえば、"身近な人間関係"と"自意識"って相場は決まってるわけで。


要は、信頼関係がなかなか築けずに困った。
もっと言えば、"話せなくて"困った。




赴任前は、
"急に現れた外国人だから、根掘り葉掘り質問されて大変だろーなー"、
"そんであっという間に仲良くなっちゃって、楽しいアフリカ生活だろーなー"
なんて妄想で頭は一杯だった。


けど、前にも書いた通り、職場は青年海外協力隊員が僕で3代目。
日本人に対する新鮮味はさほどなく、あっちから興味津々にワァーっと近寄ってくるってことがそんなになかった。

しかも、赴任時は1学期の途中。
そんな急に授業を持てる訳もなく、授業見学したり教材研究したり、授業準備したりで、理科実験室に一人でポツーンといる事のが多かった。

しかも、良くも悪くもボランティア。
学校側から指示される仕事は皆無。自分から動かなければやる事は何もない。
"だからこそ、やりたい事が何でもできる"と言えばそりゃそうだけど、勝手の全く分からない場所でいきなりの放置プレイは結構キツイ。


妄想と現実には、溝どころか大河級のギャップがあった。


「じゃあ、自分から動けばいいじゃないか」という至極当然な正論もある。
けど実際には話しかけられるのを待っていたし、"いつか"機会があったらこちらから声をかけようと思ってた。


しかし、"オバケ"と"いつか"は待っている奴の所に来たためしがない。



正直、話すのが億劫だったのだ。
相手に伝えたい事が正確に伝えられないし、クセのある英語がはっきり聞き取れないから、何度も言い直して、何度も聞き直さなくちゃいけない。
やっぱり、それは恥ずかしかった。

「誤りは誰でも犯す、問題はそれをどう正し、いかに繰り返さないかだ」なんて思おうともした。けどそんな心理操作くらいで、いたたまれなぬほどの恥ずかしさが消えるはずもなく。

『"言語環境の孤独"と"異国での孤独"の二重の孤独が辛かった』
と言えばカッコがつくけど、早い話が
『ビビって引きこもってた』のだ。

自分の小物っぷりを自覚して、余計にこたえた。





そんな、ある日。
生徒に「ちょっと、ドミに来て欲しい」と言われた。
促されるままについて行って、、、
そして、これだ。



急に数十人で踊り付きで歌われた。しかも、"日本語"で。
聞けば、前任の柴田さんが赴任してた頃、学校でJpanese cultural dayを開催したらしい。
その時に歌った"風になりたい"を日本詞で記録してたそうだ。


ゴスペルで鍛えた声量と歌唱力に圧倒されたのは言うまでもなく、
歌詞の内容が内容だったので、状況が状況だったので、
「あなたに会えた幸せ」なんて歌われたもので、

もう、そりゃあもう、ボロボロ泣いてしまった。




その後。
急に生徒の前で泣くだなんて、これ以上ない異常なカッコ悪さを見せつけてしまったので、なんかもうどーでも良くなってしまった。
あっちがワーッと来ないので、こっちからワーッと行ってみたり。

そりゃ、何を言ってるか分からないで何度も聞き返す時は未だにキツイ。
特に授業中の質問の意味が分からなくて、質問の質問をしてしまってる時とか。

ただそれからの日々は、僕は花道を行く力士のように気合をみなぎらせ、ややもすると心に忍び入る弱気と闘おうと決意したのだ。


それから徐々に、同僚、生徒、村人、コギャングらと仲良くなった。
今思うと、アレが分岐点だったなーと思ったりする。

追記:
"風になりたい"を歌ったのは、僕を感動させたかった訳ではなく、
「この歌詞の意味が分からないから英語で訳して」ってのを頼みたかっただけだった。

2010年9月6日

平べったいPTCでの一日③

朝から晩まで 7時〜17時(授業外)

授業のない間は、授業準備でずっと理科室。
PTC①
まず、現地に則した単元の理解をしなくちゃならない。
PTCの図書室で借りてきた教科書や参考書を読み込んで英語での説明を勉強して、日本の教科書を読んで単元そのものについて復習して、、、

その後に、一時間の授業の構想を練らなくちゃならない。
(生徒達は教科書を持ってないので)授業中に教えるべき重要な箇所を整理して、
(黒板があまり良くない+板書の時間がもったいないので)見やすいように画用紙に重要なポイントだけ書いて、、、

そして、楽しくしなくちゃならない。
授業中に使う実験道具を作って、想定できる質問の解答を考えて、
授業の合間に話す駄話・トリビアを考えて、英語で喋る用に表現をちょっと考えて、、、


って事をしていたら、あっという間に日が暮れていくのです。

2010年9月3日

平べったいPTCでの一日②

朝7時 登校(一限がなければ8時過ぎに登校)
まず学校に着いたら、職員室に置いてある出席名簿にサイン。
PTC②

そして、時間割。
PTC④
1限  7:30~8:30
2限  8:30~9:30
3限  9:30~10:30
BREAK  10:30~11:00
4限  11:00~12:00
5限  12:00~13:00
LUNCH  13:00~14:00
6限  14:00~15:00
7限  15:00~16:00
8限  16:00~17:00

"朝の7時30分から授業が始まる"、"授業の合間に休み時間がない"ってのには驚いた。
生徒達は寮生活なので困らないだろうけど、朝から声を張り上げるこっちはちょっと困る。

ただ。
僕のまわりにいる連中はそろいもそろって宵っぱりなので大きな声では言えないけど、
僕は朝のほうが1000倍好きです。付き合いが悪いと罵られる所以だ。
でも夜は眠たいんだから仕方ないよ。飲み会は21時スタートですとか言われても、こっちは布団に入ったり枕に頭をのせたりいろいろ忙しいのだ。

平べったいPTCでの一日①

急に短くなった2週間の夏休みがアッという間に終わり、
生徒と共にブーブー言いつつも学校が始まりました。
休み後半〜学期始めは、授業準備でヒーヒー言ってたけど、そんな地獄の数日間は台風のように過ぎ去り、さわやかなウガ晴れを心ゆくまでブーヒー堪能している今日この頃です。


そんな訳でそろそろ日常の活動記録、
PTCでの平べったい普通の一日について書こう。



朝6時 起床。
コロロの朝は、近所に放し飼いされてるエンココ(ルガンダで鶏)の咆哮と長野信一さんのファイトに満ちたリポビタンDのような声で始まる。
ラジオ体操
"博士の異常な健康"シリーズの中に書かれている「健康が趣味」の言葉に触発されて、昨年の夏頃から始めたラジオ体操。
彼の効力は尋常じゃなく、するのとしないのとじゃ一日のパフォーマンスが全く違う。

大事なのは、"全力でやる"と"他人に見せられない"の2点。

全力で第二までのフルセットをこなすと、疲労感と達成感で人生の充実感に酔う。
ただ、"朝から第二の『片あしとび運動』を全力でマリオジャンプしてる所を他人に見られる"なんて辱めを受けたら、婿に行けなくなってしまうので一人でやるのが鉄則。